タイトロープ

人生綱渡り。決心のきっかけはいつも時間切れ。

「戀とは『糸し(愛し)糸し』と言ふ心」

「ジコチューで行こう!」カップリングの「あんなに好きだったのに・・・」を好きすぎて困っているっていう特にオチの無い話。

タイトルから受ける印象、そして演奏を抑えた歌い出しの
あんなに君を好きだったのに… なぜ こうなってしまったのか
という歌詞。どんな悲劇的な結末が待つのか、あるいは過ぎた恋への後悔を綴った歌かと思いきや、「これ以上ないほど好きだと思っていたのに、更に好きになってしまった」という正反対の展開だった(ヲタク流に言うと「限界突破」ってやつね)。完全に予想外。しかし、後ろ向きな恋の歌も好きだったけど、そんなひたすら前向きな恋も良い。

そして静寂を切り裂くように始まる、疾走感溢れるバンド風のサウンド。乃木坂の曲調にしては珍しい気がする。こういう系統の曲、凄く好きなんだよなぁ。ここでまた好き度アップ。

日差しが君の横顔を 照らしてる 教室の窓際で 何を見てるのか 気になったあの日から 僕の恋は始まった
恋の始まりはいつだって些細だ。後になってから気付くことも多い。「思えばあの頃から好きだったんだな」って感じで。明確にそれと実感できる恋の始まり方って少ない気がするけど、どうだろう?
あるいは、自分の気持ちを正当化するために、後付けでも良いから理由が欲しいのかも知れない。言い訳に近いものだ。でも、そんな言い訳も時々には必要なことだったりする。それによって自分の気持ちをより強く伝えられたり、自分の中に眠っていた想いに気付けたり、ってことがあるからね。
それほどまでに根拠や始まりの物語を求めたがる対象こそ恋と呼ぶのかな、なんて。

あんなに君を好きだったのに なんか自分のイメージとは違ってたんだ もっと真面目だろうなんて…
ノートを破って折った飛行機 こっそり飛ばしてたから もっと 好きになったじゃないか!

紙飛行機投げてるぐらいでますます好きになっちゃうなんて、微笑ましいにも程がある。それはギャップにやられたんじゃなくて、相手が何をしていても魅力的に見えてしまうほど既に惹かれていたんじゃないかな。
そもそも恋なんて、大部分は勘違いだ。人は勝手に、相手に期待する。
「こういう人に違いない」 「こういう人であって欲しい」
その期待が外れた時に、人は勝手に落胆する。勝手に憤慨する。
だからギャップを感じた時に幻滅するどころか逆に惹かれるようなったってのは、とてもラッキーなことだと言える。
何にせよ、その瞬間に胸を打った衝撃は、想像に難くない。それでも言葉にして説明せずにはいられない衝動(誰に向けた説明なのか、たぶん本人すら判然としないだろう)。そういう青臭さ、不器用さ、愚直さって、年とともに磨り減って失われていくので(少なくとも自分はそうだった)、幾つになっても忘れずにいたい気持ちだなって思う。

放課後、忘れ物を取りに教室に戻ったら、ちょうど彼女が窓から紙飛行機を飛ばしてる場面に遭遇した、っていうシチュエーションが浮かんだけど(安直)、陰のある表情ではなく、ちょっとイタズラっぽい笑顔で威勢良く、って方がここのイメージに合うなぁって感想。

長い髪を束ねた感じが 僕には優等生に見えた 傷つきそうな気がしていたから 守ってあげたいと やがて思い始めた
こんなに君にやられちゃうなんて まさか 普通の恋より刺激的だったとは… 先入観とのギャップがいい
クラスメイトを殴った教師に 教科書投げつけるなんて ちょっと僕は痺れちゃったよ

ここだけで話膨らませて一本映画作ってもらいたいぐらいに好みのストーリーです。
そういえば、これって「僕=男」で「君=女」だよね?若がインタビューで真逆のこと言ってるから、本気で頭抱えてるんだけど。笑
【インタビュー】ここから乃木坂46はジコチューしていきます!!(2/2) | 歌詞検索サイト【UtaTen】ふりがな付

そうそう、自分としてはダンスもこの曲の感想を述べる上で外せないポイントだったりする。
曲調と歌詞の感じからしてダンスはカッコイイ感じにするのかと思っていたんだけど、蓋を開けてみたら可愛い系だった。違うか、乃木坂ちゃんが踊ると可愛くなるだけか?(全ツ大阪DAY1で観た時はライブ全体のエモさに当てられてカッコイイ印象が強かったんだけど、改めて幕張全握で観たら可愛い印象を受けた)
まぁ、この際どっちでも良いや。好きすぎてリリース時から散々リピートしてたんだけど、ダンスをフル尺で観てから好き度が突き抜けてしまった。
ここまで来て、自分がこの曲にハマり込んできた経緯と、曲の流れがだいたい同じだなって気付いた。イントロ初聴きでちょっと陰がありそうな雰囲気に惹かれたのも、徐々に盛り上がって「やっぱりこの曲最高!」ってなったのも、ダンスを観て更に好きになったのも。
確かに君を誤解してた 僕の好きなタイプだった でも今になって気づいた ホントの君はそれ以上イケてるよ
そういう現実と創作の偶然のリンクに面白さを感じてみたり。MVまであったら、もっと好きになっていた。間違いなく。

やっぱり長いか。これでも文章をだいぶ削ったんだけどな。
とにかくさ、こういう青春の香りがプンプンする世界観って好きなんだよね(笑)。
内から湧き出てくる「好き」っていう感情を隠すことなく前面に押し出して。恋に恋して昨日よりも今日、今日よりも明日、さらに強く恋して。

そんな真っ直ぐな想いを僕も抱いていたはずだよな。っていう胸の燻りをtwitterとかで一言で表現しようとすると「エモい」になっちゃうので、それはそれでパッションを伝えるのには悪くない表現だと思うけど、じゃあどこがどうエモかったのかって話をダラダラ語ってみるのを一回やってみたかった。
ここまで付き合ってくれた人、どうもありがとうございます。(いるのか?)

ちなみに、タイトルの「戀」は「恋」の旧字体です。