タイトロープ

人生綱渡り。決心のきっかけはいつも時間切れ。

ポンコツと情熱のあいだ

玲香ちゃん出演のミュージカル「レベッカ」を観てきました(2回鑑賞)。
感想をつらつらと書き出してみようかなと。
そこそこのネタバレ含むので、見たくない人はここでUターンを。

 

さて、ではここから本文。

 

まず真っ先に思ったのは、「桜井玲香、これ程までの歌唱力を持つのか」と(何様)。

冒頭、彼女のソロ歌唱から劇が始まるんですが、そこからもう引き込まれました。もちろん彼女の歌が上手いことは知っていたんですが、ここまで本格派だと思っていなかった。言い方悪いけどカラオケの延長みたいな感じだと思ってたんですね(たぶんノギビンゴで西〇カナ歌ってた印象が強いせい)。

だけど、今回あのような舞台上で、抑えた伴奏にソロで歌うという特殊な状況。改めてしっかり彼女の歌を聴き、癖が無く、柔らかくて伸びやかな歌声に魅了されました。公演パンフレットの記事でも、同じ役をトリプルキャストで演じる大塚千弘さんと平野綾さんに「玲香ちゃんはすごく綺麗な声で、素直な歌い方」と評されています。

まぁそんなワケでね、彼女の歌声が心地良くて、ずっと聴いていたいなと思えるミュージカルでした。

演技も申し分なかったですよ。
身寄りがない「わたし(=玲香:役名が無い)」が雇い主に付き添っていった旅先で、とある富豪の男性(妻と死別)と出会い、そこで恋に落ちて後妻に収まるものの、イギリス中で羨望の的だった前妻の影に怯えることとなり、更には前妻の死に疑惑が浮かび上がり...というサスペンス作品。
 
 マキシム(夫)は「わたし」と出会った瞬間から彼女に惹かれていたことが伺える。妻を亡くして失意の底にいた彼を救ったのは、尊大さの欠片もない控えめな佇まいと、人を疑うことを知らない純粋な瞳を持った彼女だった。
これは普段から乃木坂での活動を見ているヲタクの贔屓目だと思うけど、そのような役柄に桜井玲香という人物のキャラクターが非常にマッチしていて、これ以上ないと思える絶妙のキャスティングでした。
威圧するようなタイプのキャプテンではない。周囲の愛情を受けて真っ直ぐに育ったのだと実感できる天真爛漫かつ明朗な笑顔。世間知らずな感じもピッタリ。「ポンコツ」なんて言われている部分は鳴りを潜めて、お嬢様然とした面が強調されていましたが(そもそも玲香ちゃんも結構良いとこのお嬢様であることは窺い知れる)。
 
妻を亡くしたマキシムが短期間で彼女に惹かれていったのは必然だったと、素直に思える設定でした。マキシムの親友からも「貴女の役割は前妻と張り合うことではなく、彼に前妻の存在を忘れさせることだ」的な言葉がありました。人生に疲れた男やもめが彼女のような女性を求めるのは当然だよなぁ...(ゴニョゴニョ)。
僕もあんな奥さん(ry
 
マキシムは夫でありながら、年の差を気にしてか、あまり感情を出さずに年上然として振る舞っているんだけど、ある頃から負の感情が強く出るようになってくる。それに伴い、動揺を大きくする「わたし」。「わたし」は徐々に家庭内で孤立し、前妻に心酔していた家政婦長との溝を深めていく。そんな中で事件が起こり、「わたし」は前妻の秘密に急速に迫ることになる。
 
ここからが玲香ちゃんの見せ場だった。普段の彼女との振れ幅の大きさよ。
それまで世間知らずで頼りなく、良くも悪くも純真無垢な子供だった「わたし」が突如、強い大人の女性に変貌する。その表情の凛々しさ、声の張り、立ち居振る舞い。明らかに別人だった。そこで描かれる「強さ」は、幾つもの困難を乗り越えて鍛え上げられた強さではなくて、夫に寄り添って清濁併せ呑んで全てを包み込むような「愛ゆえの強さ」という感じでした(説明力不足)。
あんな奥さんいたら夫は心強くて何でもできる気になるよね...(ゴニョゴニョ)。
 
結局のところ、前妻の死の真相は二人の愛を強めるだけのものではあったが、それが救いであったかどうかは誰にも判らない。更なる茨の道の入口だったようにも思える。それでも「わたし」の純粋で強い愛は、観る側(僕)にとっては希望だった。
 
でね、強くなった「わたし」の姿のままで物語は終わるけど、カーテンコールでまたいつもの玲香ちゃんに戻ってるワケですよ。も~~ぉニッコニコでチョコチョコ歩いててさ。可愛いのなんの。
カテコで山口さん(マキシム)と玲香が腕組んで去っていく時、玲香がセットにぶつからないように山口さんが玲香とセットの間に手を差し込んでガードするのね。前回もやったし、今日も3回カテコで毎度やっていた。それが本当にお似合いの年の差カップルって感じで、とても微笑ましかったです。
僕もあんな奥さん(n回目
 
それと、家政婦長をダブルキャストで演じた保坂さんと涼風さんの演技力。
どちらもそれぞれの特徴が出ていて面白かったです。
保坂さんは能面というか鉄仮面というか、冷淡で近寄り難い感じ。涼風さんは表情は細かく変化するものの、何を考えているのか判らなくて不気味な感じがしました。最初に観た保坂さんの方が印象強かったんだけどね。涼風さんはモーツァルトで演じた男爵夫人の高貴な姿との振れ幅がとにかく凄いなと。
あと、二人とも演技中の強面から一変してカーテンコールで女神のような微笑を見せてくれて、心臓撃ち抜かれました。いやー、振れ幅。
 
大満足でした。 
欲を言えば、玲香ちゃんと比べる意味でも、大塚さんや平野さんの回も観たかった。
再演してくれないかなー。もちろん玲香ちゃん継続で!
桜井玲香

桜井玲香とは編集